子ども達が学ばないとマスコミで言われ始めて久しい。
なるほど、教科学習への意欲は教える立場にある私の実感としても子ども達の学ぶ意欲は年々低下しているように思える。
この原因をさぐるとき、子どもの前に展開されている現実に目をやれば、明白である。
子ども達が教科の興味をもったり、なるほどとわかったりする前に、教科への知識の獲得競争に駆り立てられ、「できる」「できない」というレッテルを張られて評価されるのでは、子ども達が学ぶことに嫌気が出てきても当然であろう。
教えられたことにいかに機械的に反応できるかという評価には、知ることで生じる驚きや次々にわき起こる疑問や喜びが加わることは決してない。
高得点を得る者は、やがていつもがんばらなくてはといった脅迫観念に追い立てられ、いつも得点のできない者は、徐々に諦観に支配されるようになってくる。
こうした競争の教育による弊害は学ぶ意欲の問題だけではなく、子ども達の心も蝕んできている。
仲間を序列化して見ることは、自らの孤立を招く。仲間と本音で話し合えたり、協同で獲得できる信頼感は形成されることがない。
絶えず精神的に不安定な思いにさらされることになる。孤立を怖れず、有能で強い自分を演出し続けなければならなくなる。 |